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イデオロギーがいろん
イデオロギー概論
戸坂 潤
第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,000 字 · 316 页
実証主義的社会心理学は、だから、社会の分析から出発するという方法を、徹底することが出来ない。それは正当に社会を分析し得ないのだから。ここでも社会はブルジョア社会としてしか、又はブルジョア社会を標準としてしか、理解されていない。
社会のこの分析が正当でないことは、デュルケムの社会学主義の精神の内にも見出される。それは人間的諸事物を、自然や観念の概念を用いて解明する(自然主義・観念論)代りに、正に社会的存在として之を解明する企てであるが、それは無論好いとして、処がこの社会が飽くまで社会プロパーに止まっていて、――ブルジョア社会は永久化されて社会プロパーとなる――経済的な原因にまで掘り下げられて分析されていないという、盾の半面を持っている。夫は所謂――この概念を吾々は決して承認しないのだが――経済主義に対立する意味に於ても亦社会学主義なのである。だからデュルケムの社会学は――而も夫は一つの世界観・哲学に名づけられるに値いするが――、社会の物質的基底(物質的生産関係)の分析から出発しないで、多少ともそれが社会プロパー化された処の中途の段階から出発する。分業の概念などが之に外ならない(分業論はブルジョア社会学の最も得意とする業績である)。