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イデオロギーがいろん

イデオロギー概論

戸坂 潤

第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,000 字 · 316 页

青空文庫

と、批判主義が立つ立場としての認識論との、重大な相違の一つは之である。前者は認識を一つの人間的能力としてしか取り上げない、之に反して後者は、認識を、科学的認識を、即ち要するに科学を、認識として取り上げる。ここでは科学という一つの文化が問題なのである。

批判主義は認識論の名に於て、即ち科学的認識の批判の名に於て、何をなしたか。夫はこの立場からすればおのずから科学の批判でなければならないが、科学に於て批判されるべきものは科学的認識の妥当性――論理的な必然性と客観性――の権利づけであった。認識論はそうした意味で論理学となる(カントの先験的論理学)。――だが科学の権利づけはおのずから科学に於ける様々な意味での方法の検討に導かれざるを得ないだろう、認識論は方法論となるのである。科学的認識――夫はこの立場からすれば取りも直さず科学自身である――の方法を検討することは併しながら、要するに一口で云えば科学即ち科学的認識の基礎の検討に外ならない。批判主義=認識論は科学が立ち而も科学自身は自覚していない科学の根柢を鮮明にしてやらねばならないと考える、それが科学=科学的認識の基礎づけと呼ばれている。