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イデオロギーがいろん

イデオロギー概論

戸坂 潤

第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,000 字 · 316 页

青空文庫

で、そうすると今云ったような「方法」――科学=科学的認識の――は、少くとも科学という客観物の方法としては、不充分であらざるを得なくなる。

果して所謂批判主義によれば、科学の方法は、科学の歴史的進歩の過程と絶縁された処の、単なる科学的概念構成の基本構造としてしか理解されない。処が実際には、科学を――無論その科学的概念構成を通してであるが――歴史的に進歩させることこそ、方法――科学研究法――の元来の面目ではなかったか。方法の概念は科学的概念構成の基本構造という云わば静態を通って、科学の歴史的進歩の動力として働くという規定にまで拡大されるのでなければ充分でない。

だから例えば、数学は凡て形式論理による概念構成を基本構造としているから、数学の方法は形式論理のものだなどと結論することは、方法という概念を科学の基本構造という静態としてしか理解しないことであって、実際には、数学の発展は歴史的な弁証法過程をその背後に持っているのである。例えば代数的な量概念は、之によって微積分的な量概念にまで進歩出来たのである。科学の静態的な基本構造と云っていたものは、実はこうした弁証法的――歴史的――発展の結果である一断面に外ならない。