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いちしょうにんとして

一商人として

相馬 愛蔵

――所信と体験――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,895 字 · 222 页

青空文庫

朝鮮土産と不老長寿

その時は焦ってはいかぬ、常時における若干の利益は得意よりの預り物と考えて、力の能う限り辛抱し、預金の返済をするつもりで勉強することが必要である。そうすれば販売価格の引き上げられる時、または原料下落の場合に、出しただけのものはきっと戻されて来るものである。あまりに小心に目前の赤字を免れようとして値上げを急ぎ、また品質を落すなどのことは、商人として慎しむべきの第一である。

朝鮮土産と不老長寿

大正十一年、私は妻と共に朝鮮に旅行した。それまでにもちょいちょい小旅行を試みたことはあるが、両人共にこうしてやや遠くまで出かけられるようになったことは、新宿に移ってから十五年、店の成長とともに、我らと寝食を共にして来た店員の成長したことをも語るものであって、留守を預けて出るにつけてもこのことは思われ、ここにも新たに店主としての喜びがあった。

朝鮮旅行の目的は、一般に視察と称するような堅いものではなかったが、さりとて単なる遊びの旅でもなく、まず朝鮮の家庭訪問というところであった。我々はかねて、新たに同胞となったこの半島の人々に対しては一段と親しくし、互いに心と心をよく通じ合うようにせねばならぬと考えていたので、在京学生の青年たちにも喜んで接し、折に触れては家庭に招待して食事を共にするなど少しばかりの世話ぶりをしたのが、青年