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ちょうさきかん
中井正一評論集
中井 正一
中井正一『中井正一評論集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:調査機関、図書館に生きる道、図書館の未来像、二十世紀の頂における図書館の意味、脱出と回帰、探偵小説の芸術性、芸術の人間学的考察、美学入門、絵画の不安、スポーツの美的要素。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,229 字 · 256 页
繊細な知恵としての趣味
そして美も、後のプロチノス(三世紀)のいったようなものと考えられたのである。「自然それ自身がロゴスを模倣する。だから、人が自然を模倣するのはただ見るものを模倣するのではなく、自然が引きだされた源たるロゴスにさかのぼるのである。だから、芸術は自然に属さず、自然に欠けた美をそれに付加するのである。」(『エネアッド』八巻)
この考えかたをダンテの『神曲』の中で「老いたる自然の手が震えているから、若い人間がその手を貸してやるのである」という句とくらべてみて、どこか通じあうもののあるのに気づくのである。つまり絶対的な「理想」と、それに隷属する「自然」、その中間の「人間」そこにこの人間の世界に、芸術の世界があるという考えかたが、奴隷制から宗教封建の千年の間、人々の解釈した美の世界であり感情の世界の役割りであったのである。
繊細な知恵としての趣味
ルネッサンスは、それをいろいろの方面から崩しはじめる。宗教封建の根底を黄金の威力、金の利子の力、交換や金融の力が、足下から腐らせはじめる。法王ボルジア家の腐敗は、宗教の権力の中枢が、大衆の眼前において、金銭的であると共に、みごとに感覚的にもなってくるのである。