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ちょうさきかん
中井正一評論集
中井 正一
中井正一『中井正一評論集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:調査機関、図書館に生きる道、図書館の未来像、二十世紀の頂における図書館の意味、脱出と回帰、探偵小説の芸術性、芸術の人間学的考察、美学入門、絵画の不安、スポーツの美的要素。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,229 字 · 256 页
絵画の不安
真に在るものは不安の上にある、というハイデッガーの考えかたには何ものか深いものがある。存在して、しかも存在のさながらの姿より隔てられているという嘆き。存在のふるさとに還りたきのぞみ。それがわれわれの「今」であり、「ここ」であり、「自分」の露わな現つである、と彼はいう。
その意味で、真の自分の姿は永遠なる「問い」の上にある。
言葉の上に、光の上に、音の上に、人は問いを、問いの上にまた問いを重ねる。それは真に在りたい深いねがいである。
われわれが存在の中に在りながら、画布をもってそれを隔て、それに寂かに立ち向うのは、在るものがそのさながらに向ってなす「問い」の設立である。
存在が存在に向ってなす「問い」の設立、そこに画布の意味がある。自分を自分から画布をもって隔ち、画布をもって押しやること、それは自分が自分に向ってなす親しき問いである。
自分が自分から隔てられているその隙虚に、あるいは画布は寂かに滑り入るともいえよう。
われわれの前にまずある白い画布は、実にいまだ問われざる一つの疑問記号である。われわれが今ここに在りながらしかも真に在らざる不安、それが画布の寂しき白さである。