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ちょうさきかん
中井正一評論集
中井 正一
中井正一『中井正一評論集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:調査機関、図書館に生きる道、図書館の未来像、二十世紀の頂における図書館の意味、脱出と回帰、探偵小説の芸術性、芸術の人間学的考察、美学入門、絵画の不安、スポーツの美的要素。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,229 字 · 256 页
光の中に
竜を描いてその眼を描く、いわゆる睛を点ずるということはかかる瞬間をもったしるしであり、また容易ならざる瞬間でもあるのである。
光の中に
昔、人々は暗い顔とか明かるい顔とかいったけれども、これは実はほんとうの光のことをいっているのではない。何か光とでもいうべきものということを考えているのであって、実は太陽の光と影に気がついてこれを画の上に展開していくのはよほど近代の世界である。
古代においてはこれにはほんとうに気がついていないのである。何となく明かるきもの、何となく暗きもの、これはむしろ幸いと不幸、いいことと悪いことといったような対立であって、光線としては捕えられていないのである。現代までの水墨画、すなわち陰影のない絵画は常にそういう人々の考え、これはいわゆる原始的形態における光に対する考えかたである。
第二には中世の欧州の絵画のごとく、神の光とでもいうべき光の下に絵画がひたされているのである。これをムーテルはソースの中を漂っている絵画という、これもまったく太陽の光の下で描いているのではないのである。十六世紀までの宗教画は常にこういう茶褐色の光、これは神に照らされたもののみが明かるく、神より遠ざかったものは暗の中にいるという宗教的感覚が絵画をかくのごとく描いて、当り前だと常に思いきたったのである。