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ちょうさきかん

中井正一評論集

中井 正一

中井正一『中井正一評論集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:調査機関、図書館に生きる道、図書館の未来像、二十世紀の頂における図書館の意味、脱出と回帰、探偵小説の芸術性、芸術の人間学的考察、美学入門、絵画の不安、スポーツの美的要素。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,229 字 · 256 页

青空文庫

5 描くということ

万葉の「さやけさ」という美のすがたでも、藤原朝の「わび」という美のすがたでも、中世の「すき」という美のすがたでも、町人文化の「いき」という美のすがたでも、そのすべてが、無理なもの、無駄な力んだもの、醜い重いものを、ほんとうのものからさらさらとほうり落して、自然さながらなるもの、鍛錬を貫いての裸のものになっていくことの美しさにおいてみな一つなのである。流動してやまないにもかかわらず、常に一貫した日本民族の「美の類型」には、変わらざるものがあるかのようである。芭蕉のいう「不易流行」流れ動くものの中に変わらざるものがあるという考えかたはここにあるかと思われる。

5 描くということ

対象を人間が描くにあたっていろいろの立場がある。

一つは物を描くというのは、外界のものを自分が見てそれをできるだけ向うに似せて描く、すなわち写実するというふうに考える立場である。いわばこれまでみんなが考えている考えかたはそれである。この考えかたには外界ではものに色が着いて、そんな形をしてあるものだともともと考えているのである。それを自分が鏡のように見て、それをカンヴァスの上に再現するという考えかた、いわゆるほんとうのように描いてあるといって驚き、かつ喜ぶ世界である。