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にんげんひょう
人間豹
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1~2月、5月~1935(昭和10)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,989 字 · 311 页
君たちというのは、つまり『人間豹』の一味のことなんだが」
それを聞くと大男は唇の隅で嘲笑った。
「フフン、それを今気づいたのかね。遅かったねえ。するとお前さんはゆうべじゅう助けのくるのを心待ちにしていたんだね。フフン、そいつは虫がよすぎらあ」
事実、明智はそれを不思議に思っていた。彼がこの空き家にはいったまま、いつまでも出て行かないのを知ったら、あのおかみさんはこの事を警察へ訴え出るに違いないと思っていた。だが、いつまで待っても救いのこないところを見ると、あのおかみさんそのものが賊の一味であって、明智をこの空き家へ誘い込むために、巧みなお芝居をうったとしか考えられぬ。あのとき家主に断わってきたというのも、でたらめだったに違いない。
「ホウ、なかなかやるねえ。あの女は名優だよ」
明智は感に堪えて言った。
「すると、このうちの借り主というのは君だったのかい。僕は恩田自身がここにいるんだと思ったが」
「そう見せかけたのよ。でなくっちゃあ、けだものは罠にかからないからね。おれがこのうちの主だよ。おれのほかには猫の子一匹いないのさ」
「ホウ、君一人か。それで怖くないのかい。