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のぶこ

伸子

宮本 百合子

「改造」1924(大正13)年9月号~1926(大正15)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,543 字 · 466 页

青空文庫

七

伸子には、何よりそれが辛く、彼のためにすまなく思った。彼が若し金持の息子なら、彼の名が紳士録に載っていたら、誰がそんなことを云うだろう。たとい、その男が、実際は騙してなぐさむ気でしかなかったとしても、世間は黙っているだろう。佃はその点、弁明さえ信じられ難い立場にいるとは!

伸子は、自分が卑められるように、苦痛を感じた。彼女は、頑固らしく云った。

「ね、ミス・プラット。あの人を愛しているのは私です。あの人を信じているのも私です。私は皆が、どんなにちやほやする人だって、愛さないものは愛さない、信じられなければ信じません。けれども、私が愛し、私が信じたら少くとも私に、その心持があるあいだ動かせません」

伸子は、日暮れ近くまで、ミス・プラットのところにいた。彼女は、内心を吐露した一種の軽やかさと同時に、自分らの結びつきに対するやや憂鬱な感傷に満されて帰った。

七

日曜日、――伸子はミス・プラットと、市の繁華な場所にあるミセス・チャアチルの茶に招かれた。ミス・プラットは、

「面白いものですよ、紐育ではいつでも、最新な生活様式や流行で皆が暮しているように云うでしょう。