轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
のぶこ
伸子
宮本 百合子
「改造」1924(大正13)年9月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,543 字 · 466 页
その度に、同じ新しい鋭い全身的な不快が伸子の胸に湧いた。慢性腎臓炎にかかっても、佃はやはり聖書を片手に、このような表情をするであろうか? 日本へかえってからは、平常聖書など読まず日を送っていた佃が、床についてから、自分を最も不幸な境遇に陥った者らしく取扱って、陰惨に聖書をひねくるのが、伸子には、惨めなような、恥かしいような堪らない心持なのであった。伸子は、自分の感情を制し、何も見なかったようにスープをすすめた。
「さ、熱いうちに召上れな。冷えたら、クックがクックだから仕方がなくなっちまってよ」
佃は、伸子の明るさを撥ねかえすような眼付で、寝台の上に起きなおった。黙って匙をとった。義務のようにスープを吸いながら、白眼のはっきりした神経質な視線を時々あげて傍の伸子を見た。
伸子は、何か自分が理由の分らない詰問でも受けているように窮屈を感じた。
「どうなすったの?――工合がよくないの?」
「いいや」
「――じゃあ気を引立てて召しあがれ、ね。あなたなんぞもう恢復期よ。何も滅入る必要なんかないのに。――平気でいる方がいいのよ」
「――有難う……おいしかった」
佃は皿をかえし、サーヴィエットで口のあたりをふき、云った。