轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

のぶこ

伸子

宮本 百合子

「改造」1924(大正13)年9月号~1926(大正15)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,543 字 · 466 页

青空文庫

二

「すぐよ、五分!」

伸子は、迅速に髪をなおし、小さなまるい茶色の帽子をかぶった。

二

丁目がふえるにつれ、人通りが減り、街がさびれてきた。

父娘は、陰気にブラインドのおりた大きな飾窓について角を左へ曲った。表通りから入ると俄に暗く、緩く爪先下りになった鋪道の足許さえよくは見えないようであった。行手の大通り一つ隔てた彼方がハドソン河で、時々鋭い夜の河風が吹きぬけた。リヴァーサイド・パークの葉のない樹木の間に冷たい蒼白さで瓦斯燈がぼんやり灯っているのが見える。

伸子は、寒さと淋しいところへ紛れこんだ気味悪さとで異様な緊張を感じた。彼女は、我知らず強く父親の腕にすがりついた。

「――まるで暗いのね。――見当がおつきになって?」

佐々は、靴の踵の音をさせて歩きながら、絶えず右側の家並に注意を払い、幾分平生と違う圧えつけた音声で答えた。

「もう少し先だろう。――然しこうどれもこれも同じ形の家ばかりではまいるな。もっと街燈でもふやせばいいのに……」

全く、左右には低い鉄柵と三四段の上り口を持った狭い家の入口が、どれもこれも同じ型で幾十となく並んでいた。鋪道のまばらな街燈の光は、一寸奥へ引っ込んだそれらの質素な戸口まで届かない。