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いだいなるゆめ
偉大なる夢
江戸川 乱歩
「日の出」新潮社、1943(昭和18)年11月~1944(昭和19)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,988 字 · 234 页
待避壕と見せかけた地下室の下に更らに二重の地下室があり、その広さも第一の地下室に比べて二倍ほどであることが分った。覗き穴は漏斗型に先が開いていて、第二の地下室の全景を一望に収め得るように出来ていた。
そこには白木のテーブルを囲んで六人の男が椅子にかけているのが斜上から眺められた。テーブルの上に大きな傘のある電燈がおかれ、その薄暗い光線が人々を照らし出していた。上から見るのでその容貌は十分には分らなかったが六人の内四人までは黄色人種、あとの二人はどうやら欧米人との混血児らしく感じられた。服装は申合せたように一様の国民服である。
六人の者は額を集めて何かしきりと話し合っていた。云うまでもなく間諜団の秘密会議である。会話は凡て英語で行われていたが、それがレシーバーを通じて、望月少佐の耳に手に取るように聞えて来る。あとで聞くと、このレシーバーは、仲間の者が第一の地下室で番兵を勤めながら、第二の地下室の会議の模様を知るためのものであって、壁の窪みの中には、別に電話機も備えられ、上から下へ話しかけることも出来るようになっていた。見張りの男は本来なればこの電話で下の仲間に危急を告げるべきであったのが、新一の攻撃が余りに不意であり素早かったので、そのひまがなかったのである。