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いだいなるゆめ

偉大なる夢

江戸川 乱歩

「日の出」新潮社、1943(昭和18)年11月~1944(昭和19)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,988 字 · 234 页

青空文庫

十分間ほど辛抱強く聴いていると、話の中途からではあったが、これは敵国間諜団の非常に重要な会合であることが分った。六人は全国の各地方から集まった者共で、日本本土に潜伏する間諜団の全体会議ともいうべきものであることが推察された。

十分間の密談の内にすら、関西の二つの大軍需工場の爆破陰謀が含まれていた。また敵機のわが本土空襲に相呼応して思想攪乱を行うべき密謀の一端が語られた。二人の混血児の内の一人は、もし今後故五十嵐博士の発明のごとき新兵器の考案が現われたならば、如何なる手段を講じてもその完成を不可能ならしめるのだと、昂然として叫んだ。その口吻よりするも、五十嵐博士殺害の陰謀が彼等の一味によって行われたことは疑いの余地がないのであった。

新一はその時少佐の肩を圧して合図をした。敵に悟られない先に、もう攻撃を開始すべきであるという意味を伝えたのである。

少佐はレシーバーを頭からはずして立ち上った。新一は床の別の一隅にある隠し戸を静かに開いた。下からほの暗い光線が四角な降り口とコンクリートの階段とを照らし出した。あらかじめ打合せておいた順序に従って、少佐は腰の拳銃を取出し、先頭に立って第二の地下室への階段を降りて行った。