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ぼんじんでん
凡人伝
佐々木 邦
「雄辯」大日本雄辯會講談社、1929(昭和4)年4月号~1930(昭和5)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,944 字 · 202 页
「その一人になるように皆で心掛けろという意味さ」
「すると校長は三十九人分失望するに定っている。僕等の級は四十人だからね」
「又理窟を言い出したよ」
「一年級は二組あるから、七十八人分失望する。僕の方と合せて百十七人分だ。五年級まであって見給え、何百人分も失望しなければならない」
「ハッハヽヽヽ」
「僕はもう芸当はやめた」
「怠けるのかい?」
「うむ」
「入学早々好い心掛だ」
「ハッハヽヽヽ」
と私は無暗に気が軽くなっていた。
「しかし僕等は責任が重いぜ」
「何故?」
「二年級は第一回生だから模範になるようにって校長先生が言ったじゃないか?」
「模範生は懲り/\だが、上級生のないのは嬉しいよ」
「頭を押え手がないからね」
「然うさ。肩身が広い」
「入ると直ぐに上級生だから有難い。一年の連中は能く敬礼するね」
と安井君も得意だった。
「しない奴は睨みつけてやると矢っ張りするよ」
「僕等を怖がっているんだ」
「粒が違うからね」
「此方は皆大きい。隈本ってノッポがいるだろう?」
「うん」
「彼奴は東京の中学校で幾度も落第して来て、もう十七だそうだ」
「強そうだね」
「東京で暴れた話ばかりしている」
「厭な奴だ。