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かちうんまけうん

勝ち運負け運

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,262 字 · 243 页

青空文庫

「うむ。妻は毎日のように行って、奥さんに読ませて貰っている」

「有難いな、婦人の愛読者があるとは」

と僕は嬉しかった。詰まらないものなら、毎日読みに来る筈はない。

「あの証文はもう済んでいるじゃないか?」

「うむ」

「半月たゝない中に自力で儲けて綺麗に返しているんだから、その辺を書いてくれゝば宜いのに、損をしたところばかり書くのは何か意味があるんだろう?」

「何があるものか? あれは一例として挙げた丈けさ」

「なんの一例だい?」

「仲が好くて扶け合うという一例さ」

「僕だって君の証文に判を捺したことが幾度もある。恩に着せるんじゃないけれど、相身互ってものだろう?」

「そこを書いたんだよ」

「しかし僕が初めて君に頼んだように書いてあるらしい」

「ハッハヽヽ」

「どうも筆の立つ奴は性が悪い。自分ばかり善い子になる」

と菊太郎君も兎に角僕の文才を認めている。

「まあ/\、そんなことは何うでも宜い」

「宜くないよ」

「以来気をつける」

「頼むよ、本当に」

「うむ。ところで奥さんの印象は何んな風だったい? 面白いと言っていたかい?」

と僕はその辺が突き止めたかった。読者の反響だ。雑誌社へ掛け合う時の参考になる。