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かちうんまけうん

勝ち運負け運

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,262 字 · 243 页

青空文庫

五分々々の計算

と親父は漸く気がついた。

五分々々の計算

僕は豊子さんの面影に似た加藤さんの令嬢を時折思い出した。しかしそれ丈けのことだった。菊太郎君と違って、近所をうろつき歩くような不見識は敢てしない。尚お商売が忙しい、失策ってからは特別に念を入れている。一体、若い中は気の多いものだ。あれなら貰っても宜いと思うような女性に一日置きぐらいに行き当る。加藤令嬢も単にその一人で、少し感銘が深かった丈けだ。唯一度会って、この人でなければならないと思い込むのは早計と浅薄を表白している。僕のは単にこの人なら辛抱出来るという及第点をつけるのである。その後二月三月の中に多くの綺麗な令嬢を見かけたから、加藤令嬢のことはソロ/\忘れ気味になった。商売も忙しいが、目先も忙しい。

菊太郎君は半年の婚約期間を終って、イヨ/\結婚した。何うせ久子さん/\で当分は問題になるまいと思っていたら、新婚旅行から帰った翌日、僕のところへお礼に来て、決心の程を示した。

「日出男君、何から何まで有難う。御恩は一生忘れない」

「いや、一向。目出度い/\」

「しかし目に余ったろう?」

「人間は締まる時に締まれば宜いんだ」