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かちうんまけうん
勝ち運負け運
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,262 字 · 243 页
菊太郎君の直観
菊太郎君の直観
もう卒業試験が近づいていた。この一挙で成績が定る。卒業の時につくレッテルは就職問題に関係する。就職問題は一生の運命を左右する。社会へ出てしまえば後は運だと言うけれど、成績が悪いとその社会へナカ/\出られない。それだから皆一生懸命だ。就職の必要のない僕にしても雰囲気の刺戟を受けて、なんだか凝っとしていられないような心持がする。
この間に処して、菊太郎君は一向奮発心を見せない。僕は恋愛問題を打ち明けられてから気がついた。普段よりも悪い。教室へは惰性で出るけれど、ノートを取らない。頬杖をついて僕のペン先の動くのをポカーンとして眺めている。魂が脱け出して乃木坂辺をうろついているから、勉強が手につかない。就職の必要がないにしても、こんな風ではレッテルをつけて貰えないかも知れない。僕は縁談を引受けたものゝ、大いに考えた。たゞ貰いたい/\だけでは成功覚束ない。菊太郎君に貰う資格がなければ、いくら僕が犬馬の労を執っても駄目だ。
二時間打っ通しの講義が早目に終って昼休みが来た時、菊太郎君は急に活気を呈して、
「おい。何うだい?」
と誘った。
「行こう。