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かちうんまけうん
勝ち運負け運
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,262 字 · 243 页
損と得の開き
損と得の開き
卒業証書を貰って来た日の晩だった。心祝いとあって、お赤飯に尾頭つきで、店員達が居並んだ。
「日出男もお蔭で何うにか斯うにか……」
と父親が控え目に披露をした後、
「実は思いの外の成績でしたから、喜んでいたゞきたいと存じまして」
と母親が宣伝した。この挨拶で僕のところの家風が分る。親父は評点が辛い。母親は無暗に甘い。チャンポンだから、変な息子が出来上ってしまった。菊太郎君のところも同じ傾向を免れない。僕と菊太郎君が似通っているのもその為めだろう。
「お芽出度うございます。若旦那、御苦労さま」
と丸尾さんが代表して、一同頭を下げた。爾来十数年、人間の運命は分らないものだ。この丸尾さんが当てた。昨今は立派な店を構えて、僕のところよりも盛大にやっている。
「大学を出れば大学者ですから、もうこの上はありませんな」
「私達小学者とは違います」
「もう学問だけでも一本立ちになれるんですから、豪いものです」
と他の番頭達もそれ/″\お祝いを述べた。お世辞もあったろうけれど、誤解もあった。大学卒業生が未だ今日ほど行き詰まらない頃だった。
「若旦那、大学の免状ってものを一遍拝ませていたゞけませんか?」