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かちうんまけうん

勝ち運負け運

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,262 字 · 243 页

青空文庫

菊太郎君も僕も地頭は決して悪いのでない。一寸薬を飲めばこの通りだ。もっと早く気がついて試験毎に飲んでいたら、首席を争ったかも知れない。

「驚いたな、これは」

と菊太郎君もこれほどとは思わなかったらしい。

「君に花を持たせようと思って、大分加減したんだぜ」

「実際僕が君より上ってことはない」

「冗談だよ」

「いや、全く君のお蔭だ」

「何あに」

「これで資格が出来たけれど、矢っ張り人生は人生だ。情けない」

「どうして?」

「秀才は病気に脆い。大抵若死をする」

「それほどの成績でもあるまい」

と僕は可笑しくなった。

「兎に角、斯ういう時に魔が差すものだ」

「ハッハヽヽ。大きく出た」

「冗談じゃないよ。僕はこの病気で死ぬのかも知れないと思っている」

「風邪ぐらいで死ぬ奴があるものか?」

「いや、唯の風邪じゃないらしい。余り長びくからって、国分さんが首を傾げていた。チブスかも知れないんだ」

「ふうむ」

「二三日中に分るだろう。チブスと定ったら入院する。大抵助からない」

「心細いことを言うなよ」

「僕は寝ていて考えたんだ。成績が普通なら、これは唯の風邪、若し図抜けて好いようなら、これはチブスだろう。