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かちうんまけうん

勝ち運負け運

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,262 字 · 243 页

青空文庫

「豊子は君の通信簿を見たいと言っている」

「厭だよ」

「万燈は幾つだい?」

「三つだ。後は皆鵞鳥だ」

「僕も甲が三つだけれど、鵞鳥の外に丙が二つある」

「それじゃ僕の方が好いんだね」

「うむ。そこで物は相談だ」

「何だい?」

「僕が頼朝で君は義経だ。これを忘れるとまた喧嘩になるぜ」

「分っているよ」

「義経が頼朝の上になるって法はない」

「何が上だい?」

「席順さ」

「席順は君の方が上だよ。君は五番で、僕は二十三番だ」

と僕は菊太郎君に花を持たせる積りだった。教室の席順は丈の順になっていた。

「教室や体操の時間の順じゃない。成績順だ。君は僕よりも上になっている」

「それは然うかも知れない。甲が同じで、丙がないからね」

「些っと気をつけてくれ給え」

「どうするんだい?」

「弟が兄貴よりも好い点を取るって法はないよ」

「それは無理だ」

「何故?」

「先生がくれるから仕方がない」

「貰わないようにすれば宜い」

「無理なことを言うんだね。君は」

「何とか言って、君は内証でお復習をするんだろう?」

「そんなことはないよ。この通りいつでも君と遊んでいるじゃないか?」

「夜が怪しい。夜姉さん達に教わるんだろう」