轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
「報知新聞夕刊」1930(昭和5)9月30日~1931(昭和6)3月12日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 190,554 字 · 381 页
あなたの最初の人と同じ様に、僕も貧乏な書生っぽでしかないのですから」
「マア」
倭文子は、三谷の肩に手を置いて、頬と頬とがすれ合う程も、近々と相手の顔を視つめながら、マアよかったといわぬばかりに、美しく美しく笑って見せた。
丁度その時、邸の塀外から、俗っぽい、笛と太鼓の音楽が聞えて来た。
一番早くその音に気づいたのは、シグマだ。彼は何か不安らしく、耳を動かしてその方を眺めた。茂少年も犬の様子に誘われて、聞き耳を立てた。
音楽が門の前あたりで止ったかと思うと、チンドン屋の鹽辛声が幽かに聞え始めた。
三谷と倭文子とは、茂少年がいきなり門の方へ、駈け出して行くのを見た。シグマも御主人のお伴をして、あとになり先になり走って行った。
門の外では、珍妙な風体のチンドン屋が、お菓子屋の広告の、連ね文句を呶鳴っていた。
胸には太鼓、その上に箱があって、お菓子の見本が並んでいる。着物は友禅メリンスを滅茶滅茶に継ぎ合わせた、和洋折衷の道化服、頭には、普通の顔の倍程もある、張りぼての、おどけ人形の首丈けを、スッポリかぶって、その黒い洞穴みたいな口から、鹽辛声がボウボウとひびいて出る。