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ちきゅうとうなん
地球盗難
海野 十三
「ラヂオ科学」1936(昭和11)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页
大隅は博士の不在を説明してドクトルを本館に案内していった。
ドクトルは、応接室に入ると、疲労を訴えた。そして暫くそこで睡眠を取らせては呉れまいかと云うのであった。
大隅はそれを承知した。そして目覚めたら呼んでくれるようにと、ベルの位置を教えてその室を出ていった。
大隅は、そこを出ると、三部屋ほど向うにある辻川博士の書斎の扉を開いて、中に入った。
大隅は、一人になると、武夫の父の殺害事件のことにつき、静かに考え始めた。あれは全く不思議な殺人事件である。誰も部屋には入って来ないのに、一瞬間の出来事で、ズバリと殺されてしまった。そして音もなく、額と手の甲に見る見る大きな穴を明けていったあの恐ろしい殺人法は、一体なんであったろうか。彼は未だかつて、そのように奇怪な殺人手段を知らなかった。
「……どうも、何となく殺人光線くさいところがある。だが、殺人光線は具体化することが不可能だといわれている。もし殺人光線を使ったとすると、それは余程恐ろしい奴に違いない」
誰が殺人光線を持っているのだろう。
「そうだ。……あの怪ドクトルかも知れない」
そうは思ったものの、折ふし来会せたドクトルが、なぜあのような重傷者を話途中にして殺害する必要があったのだろうか。