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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

成層圏を越えて

それ以外に、人間の臭いはしていながら、その姿はどこにも見あたらなかった。

誰が殺されているのだろう?

大隅理学士は、愕こうとする心臓を抑えつつ、その方へソロソロと近づいていった。

成層圏を越えて

佐々砲弾は、ロケットの中に閉じこめられたところまでは覚えていたが、それから急にドンと激しい衝撃をうけた途端に人事不省に陥ってしまった。彼が再び意識を取戻したのはそれからどの位経った後だか分らなかった。

「……ああッ……」

佐々が気づいたとき、最先に感じたのは恐ろしい眩暈であった。脳味噌が誰かの掌のうちにギュッと握られているような感じだった。眼を明けようとしても、明けることができないほどの気持の悪さだった。彼は、これは死ぬのじゃないかなアと思ったりした。

シューゥ、ゴトゴトゴトゴト。

なんだか蒸気が洩れているような音と、それに交って何か機関でも廻るらしい響とが聞えてくるのだった。しかし別に震動はないので助かった。

「ああッ……。頭が割れてしまいそうだ。薬はないか……」

彼は両手で頭を抱えて、身体を蝦のように曲げた。

そのときだった。突然大きな声がした。

「座席について、横の壁にある抽出を明けろ。