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ちきゅうとうなん
地球盗難
海野 十三
「ラヂオ科学」1936(昭和11)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页
怪しき閃光
大隅理学士は、とうとう分厚い原書をパタリと閉めてしまった。どうやらこれはかなり重大な事件が発生したものと思われる。ことに武夫少年とは、こっちへ来てから毎日のように遊んで、よく知っていた。どうやらその武夫が魔の森に踏み迷って行方が知れない様子だ。その上、魔の森のこととて、村人が探しにゆくのを躊躇している風である。このままでは、武夫は危難のままに捨てて置かれることになるらしい。
「これは可哀想だ!」
大隅は立ち上ると、帯を解いて、洋服に着かえた。そして靴を履いて一旦門口へ出たが、なにを思ったかまた部屋に引返してきて、押入の中をゴソゴソやっていたが、やがて妙な金具のついた太くて真黒な洋杖をひっぱりだすと、それを携えて外に飛びだした。
怪しき閃光
お美代の家の前には、ほとんど全部の村人が集っていた。いずれも心配そうな顔をして、思案にあぐんでいる風だった。
大隅理学士はその連中の中から、顔見知りの役場の書記で古花甚平という男を探しあてて、話しかけた。
「その後、お美代さんの容態はどうですか」
書記は大きな手でツルリと自分の顔を撫でまわしたのち、
「ああ、お美代坊は、いま睡り薬が利いて、ぐうぐう眠っとりますだ。