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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

黒き追跡者

どこへこのロケットは行こうというのだろう。おれを一体どうしようというのだろう。まさか月の世界へ行かせようというのではあるまいな。……それに、見れば別に操縦装置も何もないようだが、うまく着陸できるのかしら……」

元来が放胆をもって知られている佐々砲弾だったけれど、涯しない天涯に放りだされては、心細くならないではいられなかった。

「……何か操縦装置みたいなものがありそうなものだが……」

そのとき彼は、前の四角な函卓子の横に、小さな押し釦があるのに気がついた。

黒き追跡者

「……おお、これは何をするための押し釦かしら?」

変な押し釦を押して厭な運命を背負いこんでもつまらないとは思ったが、なにしろこの狭いロケットの中である。じッとしていても天涯にふり流されて、再び地球に戻れないかもしれないのだ。ぼんやり死を待っているよりは、鬼でも蛇でもよいこっちから、迎えに行ってやろう……と覚悟を決めて、佐々砲弾は、卓子の横についている押し釦の上に太い指を重ねると、思い切ってギューッと押してみた。

するとバタンという音がして、卓子の板が二つに割れ、左右に開いた。

「あッ……」

割れた板の下から現れて来たのは、四角な桝のようなものが六つ。