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ちきゅうとうなん
地球盗難
海野 十三
「ラヂオ科学」1936(昭和11)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页
地下道の俘囚
覘っているのは博士だった。佐々の右手にはブローニングらしい拳銃が握られていた。博士が動けば、撃とうというのらしい。
「射つな。――」
大隅はベッドの上から目顔で知らせた。佐々は不平だったらしいけれど、博士が全く後向きに仕事に熱中している様子に安心をして、これなら組打ちをしても大丈夫だと悟ったらしい。そこで彼は、拳銃をポケットに収いかけた。彼の手が内懐のポケットの中に消えたので、いよいよ収ったなと感じた途端、ゴトーンと大きな音がして、服の間から拳銃が床の上に落ちた。
地下道の俘囚
博士は不意を喰って、その場に一メートルほども飛び上った。佐々は佐々で、思いがけない失敗に、ひどく狼狽の色を現した。
そうなると、どっちも五分と五分だった。
「貴様ア……」
「ウヌ、何者かア……」
二人は睨みあったまま、ジリジリと双方から近づいていった。大隅は手術台の上で、いまこそ脱出の好期とばかりに、手足をいろいろと引張ってみたが、どうしてどうして、動かばこそ……。
佐々は身を沈めて、つと拳銃を拾いあげようとした。途端に隙を見出したか、辻川博士は飢えたる狼のように、佐々の上に飛びかかった。