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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

だが室内の光線が、暗かったものか、彼はその書類綴を抱えたまま、奥の窓の方に歩いていった。そして貪るように、それを読み耽るのであった。そこには何んなことが記されてあるのだろうか。

大隅学士は何思ったか、四つン匍いになると、カーテンの蔭からソッと匍いだした。

(今がチャンスだッ!)

彼は音をたてぬように、充分の注意を払いながら、大胆にも書類戸棚の方に近づいていった。その戸棚こそは、彼が中を開けてみたいと思いつつ遂に開くことが出来なかったものであった。

彼は石亀のようにソロソロと匍った。そのうち彼は遂に戸棚の近くまで進んだ。そこには一つの安楽椅子があった。彼はその蔭に廻るとソッと手を伸ばした。

「やったッ!」

と彼は叫んだ。その手には、太い洋杖がムンズと握られていた。あの恐ろしい怪力線を発射する洋杖が……。

大隅の叫び声に、ドクトルは愕きのあまりその場に飛び上った。書類綴はドーンと床の上に落ちた。

「な、なにをするッ」

とドクトルの声。

「僕の命令どおりになさい。そうでないと……」

「そうでないと……」

「そうでないと、貴方の生命は有りませんよ」

大隅は例の怪力杖をドクトルの方にグッと差し向けながら、自信にみちた声をかけた。