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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

大隅学士は、深い興味を覚えて、それを尋ねた。

「なかなかむずかしい研究です。誰に説明しても分るというものではありません。しかし簡単に云いますと、近年この地球上に、有史以来始めて見る異変が起っているのです。その著しいものは、生物の異常成長です。辻川博士はその異常成長の研究材料を、沢山持っています」

「なるほど、生物の異常成長! すると、魔の森において発見された亀のように大きい甲虫もそれなのですね」

「おお、貴君はよく知っていますね。あのX甲虫も、その一つです。まだもっと愕くべきものが沢山ありますよ」

「それは人間のことを云うのでしょう」

「ほう、貴君はよく知っていますね。辻川博士はその研究材料を沢山蒐めています。これは世界中で極めて珍らしいものです。日本とアルゼンチンの山奥と、この二ヶ所しかないのです」

「えッ、アルゼンチンにもあるのですか」

「そうです。私、そのアルゼンチンの探険を終えて帰国の途中、辻川博士に逢いに来たのです」

ドクトル、シュワルツコッフは大隅学士を辻川博士の助手と考えたものか、別に隠し立てもせず、スラスラと話すのであった。しかしドクトルの話の内容は、大隅学士をどのように愕かせたか、それは説明するまでもあるまい。