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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

辻川博士の怪邸も、いまは抜け殻となりはてたようなものであった。

そのとき大隅学士は不図気がついてあたりを眺めまわした。

「おお居た居た」

武夫はその声に、大隅の注視する方を見た。門番小屋の傍に、これも彼等と同じように小手を翳し、呆然と空を見上げている義足の男。

「岩蔵はとうとう取りのこされたんだナ」

大隅はツカツカと歩いていって、岩蔵の肩をポンと叩いた。すると彼は襖を倒すように、叫び声一つあげず、ドーンと後に倒れた。

大隅は愕いて、彼の傍に膝まずき、門番子の脈をとってみた。脈は微かで早かったけれど、たしかに指先に感じられた。どうやら愕きのあまり気絶した様子である。武夫の力を借りて、彼の身体は門番小屋の中にうつされた。

そうこうしているうちに、二人は突然東の方角にあたって、飛行機の爆音のようなものを聞いた。

「オヤ、こんどは何だろう」

と、音のする方の空を注視すると、なるほどそれは飛行機に違いなかった。だが愕いたことに、それは一機や二機ではなかった。数えてゆくと、およそ十四、五機もあったろうか。大きいのや小さいのや、それから近づくと、赤い翼をもったのや青い胴体のものや、いろいろさまざまの形のものが、吾れ勝ちに機首をこちらに向けて飛んでくるのであった。