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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

そういうと佐々記者はアタフタと、宿を飛び出していった。大隅学士は腕時計を見た。あと十五分で、その午前十一時となるのであった。彼の元気な友人は、今しも村の助役である古花甚平のところへ出掛けたのだった。古花といえば、失踪した武夫少年が調査依頼した三つの突飛な質問の一つに関係がある人物だった。つまり古花甚平こそは、丁度今から一年程前、この矢追村の沖合に停泊した外国汽船に臨時に雇われ、その汽船のために何か用事を果たした人物だった。外にも二名の男がいたが、一人は既に病死し、他の一人は武夫の父親であるがこれは行方不明になっていて、今では当時の事情を知る唯一の村人だったのである。大隅学士は古花甚平に逢って、いろいろ訊ね出そうとしたが、彼は説明の出来ない恐怖のためどうしても口を開かなかった。斯くてはこの第一問は遂に知ることが出来ないこととなり、第二の問題の方に懸かろうかと思っていたが、これを知った佐々記者は、そんなことは何でもないことで自分が喋らせてみるから一寸委せるようにと申し出た。そこで佐々の計画というのを聞いてみると彼は習い覚えた催眠術を古花甚平に懸けて、そして例の秘密を喋らせようというのだ。