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ちきゅうとうなん
地球盗難
海野 十三
「ラヂオ科学」1936(昭和11)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页
ナイフはうまくチョッキのポケットから滑り落ちた。それを口で啣え、こんどは足を使って、これを右手にやっと渡すことが出来た。右手は手でもって、ナイフの刃をぬきだすのが最後の困難だった。これは一番時間を要したが、やっと刃が出てきた。あとはもう大したことではなかった。
「さあ、自由になったぞ!」
大隅学士は床上に立ち上ることができて狂喜した。彼は珍らしそうに、辺りを見廻した。理学を専攻している彼にとって、この部屋の設備は一つとして愕きでないものはなかった。深い関心が恐怖や憎悪までを薄れさせるようにさえ感じた。
彼はそこで、この後の行動につき、どっちにしようかと迷った。博士の留守を利用して、この部屋の秘密を調べるべきだろうか。それとも拉致された佐々砲弾の後を追うべきだろうか?
彼は残念に思ったけれど、今は極力佐々の跡を追う方が正しいと思ったので、この室の興味を次の機会にまで預け、ソッと脱出した。
この第五階には、佐々の姿が見えなかった。階段を下に降りようとすると、そのとき窓の外がパッと明るくなったように感じた。愕いて窓のところに寄ってみると、これはまた凄い外面の光景! 外は、まるで昼間のように、眩しい光に充ちみちていた。