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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

それは何か砲弾のような物体の下で、さかんにパチパチやっていたが、そのうちに、砲弾のようなものはスーゥと空中に浮き上ったと思うと、こんどは凄じい勢いで、呀っという間に花火のように天空高く舞いあがった。後には幅の広い大火柱が眼底にいつまでもハッキリとした残像を刻みつけたのだった。

「おお、この火柱だ!」

と大隅学士は吾にもなく、高く叫んだ。かって魔の森の中で見たのは、やはりこのような火柱だった。この矢追村の人たちが、魔の森の方向に火柱が立つといったのは、このことなのだ。ここで始めて火柱の正体が分った。これこそ高空に舞いあがり、宇宙旅行をさえ可能ならしめるだろうと云われているロケットに違いない。ロケットは、これまで幾度もこの辻川博士邸から噴射されたのに違いない。魔の森と辻川博士邸とは、距離がかなり近よっている。魔の森でみたと思った火柱も案外森の立木をとおして、博士邸内を見下ろしていたのかも知れないし、遠方から見た村人が、この近よった森と博士邸とを見あやまったのも、また無理のないことだった。

大隅学士はロケットの発射されるところを探すために、階段を下っていった。