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ちきゅうとうなん
地球盗難
海野 十三
「ラヂオ科学」1936(昭和11)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页
空中の死刑船
このロケットを追ってくるもう一台のロケットがあるんだ……」
ロケットがロケットを追う……。
追い迫ってくるロケットは、ちょっとだけ横になっただけで、暫くすると、また元のように丸い黒円にかえった。これはおかしいと桝の中を調べてみると、「左」にあった月が「頭」の桝に移動していた。この二つのロケットは、急に進路を月の方に転換したものと思われた。
そのときだった。
「これは変だぞ……」
佐々は急に気がついて、大声をあげた。それはテレビジョンの入った函卓子が、だんだんと低くなってゆくのであった。なんだか卓子が、床下に沈下してゆく様子だった。なぜそんなことが始まったんだろう。
だがそれは大変な思い違いだった。卓子が沈下してゆくのではなかった。佐々の足がついている床がだんだんと上にのぼってくるのであった。
「おお、床が上る……」
空中の死刑船
彼が天井を見上げた途端、一切がハッキリと分った。――なぜなら天井が、いやに低くなってきたからである。
「これは大変だッ……」
佐々は椅子から跳ね上った。そして床と壁との境目を調べてみた。なるほど、フェルトを敷きつめた床がすこしずつ壁をすりながら上ってゆくのがハッキリ見られた。