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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

枝はすこし撓ったけれど、三つ股のあるところへは、ずっと届きやすくなった。そればかりか、いままで幹の蔭でよく見えなかったのが、角度が変ったので、身体がだいぶんよく見えるようになった。武夫は悦んで暗い葉蔭をとおして、その亀のような動物に目を注いだが、そのとき彼は驚きのあまり、もう少しで枝から足を滑らせるところであった。

「呀ッ。……」

そう叫んだなり、武夫は激しい動悸を一生懸命に鎮まらせようとしたが、なかなか思うように行かなかった。見れば見るほど、奇異なる存在だった。それは実に身体が大きな亀ぐらいもある恐ろしく巨大な甲虫だった。甲虫といえばいくら大きくても、せいぜい銭亀ぐらいのものだった。ところがこいつは、大きさがその約十倍もあって、石亀にしても相当大きい方に比べなければならないほどだった。正に化物の部類に入れなければならぬ怪物甲虫だった。その怪物は、あまり竹の尖で突かれたもので、怒っているらしく、腹のところをブルブルと震わせていた。武夫の耳にはジージーという怪物の怪しい呻り声が聞えてきた。

「武夫さん、武夫さん。あんた、どうしたの。何か云ってよオ、あたし恐いわ。