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てんのう
天皇
蜷川 新
誰が日本民族の主人であるか
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页
このようなことは、大敗戦と降伏という恥辱のうえに、さらに、文明の裁判を理解しないという一大汚名をかさねることになるのである。私は、かかる卑怯な態度をとることを拒絶する。
東京の軍事裁判が、純法理的でなかったことについては、雑誌『思想』の一九五二年六月号に、松谷久男氏の筆になる「対日輿論および占領政策における天皇」と題した一文がかかげられてあって、くわしくその情実のことが出ている。そして、その情実にかんして、カナダの実業家の、つぎのような告白も引用されている。
「日本における私自身の経験にもとづいて、いつも感じるのだが、われわれの最大のあやまりは、天皇を存置したこと、および天皇が軍事的補佐官にだまされたのだという、愚劣な神話をまきちらしたことである。もちろん、天皇を存置したには理由がある。しかし、連合軍の日本上陸が、ひとたび成功したうえでは、それらの理由は、われわれが自らの偉大な民主主義の伝統にたいして、真実でなかったこと以外のなにものでもない。」
ある者はまぬがれ、ある者は絞首刑に処せられたりするところには、文明のあろうはずがない。民主主義などは存在しないのである。