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てんのう

天皇

蜷川 新

誰が日本民族の主人であるか

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页

青空文庫

新井白石の仁徳天皇論

人民の迷いである。あるいは無学の結果である。

新井白石の仁徳天皇論

新井白石は、『仁徳帝紀を読む』で、つぎのように論じている。

「私は、仁徳天皇のことを書いた『仁徳帝紀』を読んで、それによつて、君主たるものが、財を集めることは、不仁のはなはだしいものであることを知つた。仁徳天皇の不仁は、はなはだしいというべきである。それであるのに、天下の人は、仁徳天皇のことを、仁君であると言つている。なぜ、そういうのであろうか。それは他でもない。ただ、たんに人民にたいして、三年のあいだ、年貢と労役とを免除しただけのことである。

それ、飢えたものは食べるものをえらばない、喉のかわいたものは、飲むものをえらばない。人民が虐政に苦しむのは、飢渇よりもはなはだしいものがある。仁徳天皇は、仁政をほどこし、人民はそのめぐみをこうむつた。たしかに、それは昔も今もそれに及ぶものはない。仁徳天皇は、それを、みずからおこなつたのである。世の人びとが、仁徳天皇を聖王というのは、もつともなことである。

シナの『詩経』という本に、『文王は、王自身もすぐれており、その夫人もすぐれていた。夫婦そろつて、その一家がよくととのつたので、それが手本となつて、兄弟におよび、その親類一族の人びとまでも感化を受けた。