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てんのう
天皇
蜷川 新
誰が日本民族の主人であるか
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页
三 歴史のなかの天皇
1 神武から仏教渡来までの天皇
との一文はあったが、それは、上下の地位を言っただけのことであった。天皇には、古代から絶大の権力のなかったことは、日本の歴史を正しく見れば明らかである。
そこで、日本の歴史において、主権がつねに、天皇のものであったかどうかを、通観する必要がある。私は、つぎの章に、それについて述べることにする。
三 歴史のなかの天皇
1 神武から仏教渡来までの天皇
神武は、六年間の長いあいだ、本土の中央を侵略する戦争をおこなった。神武の敵将、長髄彦は、その名がしめているように、巨人であり、英雄的な人物であったように思われる。その巨人は、妹の婿である饒速日のために、不幸にして暗殺された。そうして饒速日は、神武の軍に降伏した。
長髄彦の側から当時の出来事を見ると、六年間の長い戦争ののちにも、全軍が降参したという事実はない。その親玉が内部の人に暗殺されるという意外な事件から、敵に降伏したという奇怪事であったにすぎない。彼らには甚大な遺憾事であったろうと、公正な史家としては推察せざるをえない。
神武は、長髄彦の妹と饒速日とのあいだに生まれた子の字麻士真手を、日本はじめての国政太夫にした。