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てんのう

天皇

蜷川 新

誰が日本民族の主人であるか

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页

青空文庫

斎藤竹堂の天智天皇論

斎藤竹堂の天智天皇論

やはり、徳川時代の漢学者、斎藤竹堂は、日本の古代からの制度を論じている。つぎにそれを述べて見る。

「封建の制度はふるい。それが郡県の制度となつたのは、天智天皇からはじまる。ある者は、『シナの封建は、秦の時代になつて変わつた。』というが、そうではない。秦が変えたのではない。周代の末期に、諸侯がたがいに侵略しあつたために、領土の奪いあいは、尽き果てたのである。秦はこれに乗じたのであつた。時代の勢いは、郡県に変わらざるをえないときであつた。天智天皇のときには、シナにおけるような弊害は見られなかつたが、天智天皇は、理由もなしに人の土地を奪い、人民を奪つた。それはどういうわけであつたのか。

わが国の封建は、シナの封建とおなじではなかつた。シナは全土が一色に封建制の国であつた。しかし、わが国の封建制は、郡県制をかねていたのである。それゆえに、その封建制を一変したことは、国の全土を一変させたことではない。郡県でなかつたところを変えたにすぎない。もとから郡県であつたものは変えるに及ばなかつたのである。その当時には、国造と、国司とがあつた。国造は、神武の時代からあつた。