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てんのう

天皇

蜷川 新

誰が日本民族の主人であるか

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页

青空文庫

3 天智の権力獲得

」これは、まえにかかげた新村氏の著書に書いてある。

聖徳太子は、四十八歳のときに死んだ。その死後の四年目に、馬子は病に臥したが、そのときに、大臣馬子のために、「男女一千人が出家した。」(新村出氏の著書第二十八ページ)この一事は、馬子の徳望が、ひじょうに高いものであったことを証明している。聖徳太子の死んだときには、これほどの事件は生じていない。馬子は、聖徳太子にまさるほどの人物であったものと、私には判断される。

蘇我氏は、当時、日本唯一の一大権力者であったから、自ら王と称した。百官も蘇我氏のもとに参向した。それは当然のなりゆきであった。それをさして、権力の横どりと論ずる人のあるのは、人間本位の史論としては非合理である。民主主義の見かたからすれば、理に合わない言論といえる。すべて、実力の存するところに、権力はあるものだからである。それは人間社会の常理である。

3 天智の権力獲得

さて、蘇我氏の権力は、馬子、蝦夷、入鹿と、三代にわたって続いたが、とくに馬子は、ひじょうに人望のあった人である。まえに述べたように、それは、三代六十年にわたるのであって、明治、大正、昭和の三代と、ほとんど同じ期間の事業である。