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てんのう

天皇

蜷川 新

誰が日本民族の主人であるか

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页

青空文庫

ただし、その統治権を行使するについては、天皇の意思のみをもって、これをおこなうことは許されないのであって、「憲法の条規によって行う」という条件がつけられている。(旧憲法第四条)すなわち、旧式の専制君主国でないことは明らかにされている。

それにしても、天皇の大権といわれる権力は、相当に多く定められてあって、その大権は、天皇の自由の意思によっておこなわれるものである。たとえば、軍の統帥権がすなわちそれである。天皇は、「陸海軍を統帥す」と、絶対に規定してある。国務大臣の輔弼も、それには絶対におこなわれ得ないのであった。天皇は、参謀総長と軍令部総長とを部下として、その輔弼によって、軍を統帥するのであった。「統帥権の独立」というのが、すなわち、それであった。この条規は、このように解することが、憲法制定の史実上から、また文理上から、正しいのであって、私は、憲法の専門家としてそのように解釈していたものである。

その点において、美濃部達吉氏の解釈は異なっていた。そうして、大元帥と軍統帥部の長官との決定したことは、いまだ国務ではないと論じ、天皇の行為としては、国務大臣の輔弼を要するものと説いていた。