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てんのう

天皇

蜷川 新

誰が日本民族の主人であるか

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页

青空文庫

明治天皇が、一八八一年(明治十四年)に詔勅をもって、一八九〇年(明治二十三年)に、憲法を発布すると宣言されたことは、どんな憲法を発布するつもりであったのか。なんびとも、その後、それについて質疑を提出しなかった。けれども、私はそれについて、質疑を社会に提出していた。さきにも、ふれたように、当時、大隈重信らの民間の人びとが、イギリス流・フランス式の憲法を望んだのにたいして、伊藤はそれを蹴って、天皇権力本位のプロシァ風の憲法を起案したのであった。人民はあざむかれたのである。私は、そう論ぜざるをえない。

伊藤は、まえにかかげた手紙のなかでも、「イギリスの憲法は、イギリスの数百年来の伝統で、できている。イギリスは日本とはちがうのである。それであるから、イギリス流の憲法は、日本にはおこなえない。」と力説している。はなはだ、おかしな話である。当時、伊藤のとなえたところは、つぎのようであった。

「英国主義(王は王位あるも統治せず)、この主義を履行せんとすれば、王政復古は非なり。わが皇室ほとんど七百余年間、その統治の大権を、あげて覇府に掠奪せられたり。しかれども、皇位皇統は連綿たり。