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てんのう
天皇
蜷川 新
誰が日本民族の主人であるか
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页
天皇崇峻が殺されたときに、厩戸は、冷然として、これを眺めていた。
昔の漢学者は、厩戸をにくんで、「その殺されるのを見ても、平気で眺めていた。その残忍と不仁とは、仏教の精神にそむくこと、はなはだしいものがある。」と、ののしっている。(坂井虎山の厩戸論)また、他の漢学者は、「ああこれ、一暗弱の太子のみ。」と論じている。(安積艮斎の厩戸論)
今日では厩戸皇子を、聖徳太子として、絶賛する人が多いけれども、それは、事実に即した公正な論とは言えないであろう。それは、皇室本位論からくる誤りであった。
蘇我氏は、仏教を日本全国にひろめた。寺を建てること、四十六箇所であった。僧侶は、一千三百八十余人も養成した。四天王寺も、法興寺も建てた。金堂薬師如来や、丈六の仏像もつくった。法輪寺、中宮寺も建てた。天寿国曼荼羅や、金堂釈迦如来や、脇侍像も、蘇我氏によって作られた。
これらは、当時の権力者であった蘇我氏の事業である。聖徳太子には権力がなかった。だから、彼の権力によってできたものでないことは明らかである。蘇我氏があって、はじめて、日本に仏教文化はかがやいたのである。
これまでの歴史家や、仏教家や一般の日本人は、皇室本位の政策にかたよって、この明らかな事実を、正直に認めようとはせずに、ただたんに、聖徳太子のみの事業のように、礼賛