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おんなきしゃのやくわり

女記者の役割

野村 胡堂

「文芸倶楽部」1930(昭和5)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,039 字 · 32 页

青空文庫

どうか、高城君を一度でも疑った罪亡ぼしに、この似合いの二人の手を、永久に握らせてやって頂き度いのです。先刻高城君を犯人と思い乍らも、最後まで庇おうとした、お嬢様の犠牲的な態度で、若い人達の心持は充分お解りでしょう。この事件で受持たれたお嬢様の役割は実に素晴らしいものです。――それでは皆様、千種君は私と一緒に帰ろう、君にも飛んだ心配をさせちゃったなア」

花房一郎は丁寧に一揖して、そのまま廊下へ出ようとしました。

「あ、待ってくれ給え、これほどのお骨折に、早速お礼をしなければ、私の気がすまない」

「イエイエ警視庁の小吏が、これしきの事で謝礼を受けてはすみません。お嬢さんと高城君を並べて紫外光線写真でも撮って下されば、それで私は充分です」

美しい花枝と高城鉄也の、極り悪そうな顔を後に、二人は小走りに午後の街へ出ました。

「どうだ、清々したろう」

外は美しい冬の日和、花房一郎は立止って大きく新しい空気を吸います。

「カフェー人魚へでも行って、独り者同士の杯でも挙げようか」

「よかろう」

二人は何時の間にやら手を組み合せて居りました。