轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きょうふおう

恐怖王

江戸川 乱歩

「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年6月~7月、9月~10月、1932(昭和7)年1月~5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 66,038 字 · 133 页

青空文庫

「妙だ、あいつはなぜ、俺を見つめているんだろう」

ムラムラと疑念が湧き上った。

蓬の様な頭髪、ボロボロの古布子、繩を結んだ帯。乞食かしらん、だが、乞食がなぜあんなに彼を見つめていたのだろう。

こちらもじっと睨みつけてやると、乞食みたいな男は、気拙そうにそっぽを向いて、トボトボと歩き出した。歩きながら、チラッチラッと振返る。その様子が如何にも怪しいのだ。

蘭堂はあきらめ切れないで、つい乞食のあとを追って歩き出した。

広い砂浜を、右に左に、時には逆戻りさえしながら、乞食はいつまでも歩いて行く。その歩きぶりは、全くあてのない散歩でもしている様に見えるが、こうして蘭堂を退屈させて、尾行を思切らせる算段かも知れない。

グルグル廻りながら、やがて砂浜を三十分も歩いたであろうか、ふと気がつくと、高い石垣の上で、五六人の子供が騒いでいた。彼等は乞食と蘭堂を指さして、しきりと何か囃し立てているのだ。

「あれ字だよ。伯父さん達字を描いているんだよ。君、読めるかい」

「読めらい、あれ、英語のKって字だい」

この異様な会話が、蘭堂の小耳を打った。子供等は一体何を云っているのだろうと、うしろを振返って見ても、別に文字らしいものは見当らぬ。