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せいじがくにゅうもん

政治学入門

矢部 貞治

「政治学入門」アテネ新書、弘文堂、1951(昭和26)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,607 字 · 96 页

青空文庫

だという。グムプロヴィッツによれば、国家は社会的な分業の組織体であるが、シュペングラーによれば、国家は静止している歴史であり、歴史は動いている国家である。

その他数多くの人が国家について説いているところも、種々雑多であって、「国家論」は政治学の中でも一番厖大な部門を占めるし、あるいは政治学と別に「国家学」という学問として取扱うこともできる。しかしいまここで問題になっているのは、国家の「定義」または「概念」であって、「概念」は「本質」とは区別しなければならない。概念というのは、ある現象を他の現象から区別するため、その現象の不可欠でかつ充分な特徴をとらえ、それに価値判断のない無色の定義を与えたものであるが、本質というのは、その現象に含まれている意味についての価値判断をいうのである。

このように考えると、上に掲げたような国家の説明は、実は国家の本質をいっていることがわかるのである。国家の本質論としてこれらの説のどれが正しいかは、しばらく別問題として、要するに国家の定義は、これらの本質論とは別個に考えられねばならぬ。そして国家の定義についてもまた、いろいろの言い方があるが、だいたいのところ人民、領土、及び最高一般の統制組織の三要素を、国家の不可欠でかつ充分の標識とするのが普通である。