轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

04 第四分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 页

青空文庫

甘糟三平は、側衆まで取次ぎを申し出て、控えで湯など飲んでいたが、いつまでも沙汰がないので、

「てまえが帰着のこと、お耳へとどいたであろうか。もう一度、御催促ねがいたいが」

と、再度の取次ぎを仰いだ。

側衆からの返辞は、

「今しがた、御評議が終ったのみで、ややおつかれの体にお見うけされるゆえ、もうしばらく相待つように」

とのことだった。三平はかさねて、

「その御評議なればこそ、てまえの用向きも、よけい火急を要しますわけで。恐れながら即刻」

と、請求した。

すると、側衆から信玄へ達したとみえて、すぐ通れとのことだった。毘沙門堂へ行く中門まで表の武士が附いて来る。そこから奥の武士へ引き継がれて、彼は、信玄の身近へ歩いて行った。

「三平か」

信玄は、毘沙門堂の縁に、床几をおかせて腰かけていた。幹の大きな若楓が、そのすがたに燦々と日光の斑をそよがせていた。

「――余事は措きまして、取りいそぎ、急の御報告までを申しあげまする」

「ウム。うむ。……余事などは措け。何事が起ったか」

「さきに、早馬をもって、伊勢からお知らせ申した儀は、情勢、まったく一変いたしましたゆえ、万一のおうごきもどうかと、自分、夜を日についで、駈け参りました」