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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
09 第九分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 187,757 字 · 375 页
「助作はこの辺の生れとも聞かぬが、どうして杣道まで詳しく存じておるか」
「去年の暮、この辺を御巡視の砌り、お供の余暇を窺って、独り彼方此方、歩きましたから」
「ふム。何を思うて?」
「二度まで殿がお歩きある以上、後日、必ずこの地こそ、柴田勢との決戦場たる地に相違なし――と思い定めましたゆえ」
「そうか」
頷いたのみだったが、秀吉の眼は、うい奴――と愛でているようだった。
たえず彼の側にある小姓組のうちでは、脇坂甚内安治の三十歳が年頭で、次が助作の二十八歳であった。
ついでに、他の面々を見ると、平野権平と大谷平馬吉継とが、同い年の二十五歳。
福島市松が、二十四。
加藤虎之助が、二十二。
加藤孫太郎嘉明、二十一という順になる。
このほか、秀吉の側にはいないが、今度の戦陣に参加している若桜には、一柳四郎右衛門十八歳、黒田吉兵衛長政の十六歳、菅六之丞の十七歳、羽柴秀勝の十六歳などがあり、恐らく、最年少と思われる者に、丹羽長秀の子、丹羽鍋丸の十二歳などかある。
これらは皆、武将の子、名門の子弟だが、槍、荷駄、その他の組にも、年まだ十五、六の紅顔の兵は沢山いた。そのすべてが皆、実戦への参加をわが子にせがまれ、或いは、父が望んで、相携えてきたものだった。