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にっき
日記
宮本 百合子
06 一九二〇年(大正九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,923 字 · 46 页
其は真個に信じて居るの、けれども、ね……何故――」
「何?」
「何故ね、時々ほんとうにいやなものを感じるのでしょう、チカチカしたものが私の心を刺すの、愛して居るけれども、いやなの。」
彼女は彼の頸に腕をからんで囁いた。
「だからね、貴方、私は疑わずには居られないわ、頼りないの。」
「私は貴方を愛して居ます。真個に愛して居る、貴方の心の底にある絶対に近い愛をしっかりと握って居るから、私は貴女の欠点も許せるしよい処丈を見て行かれる。真個の愛はそういうものじゃあないでしょうか。」
「そう――私は不真実なのでしょうか? え? グランパ」
――○――
「私は今日感じる不快なんかは、皆自分がオバーメジュアした故だと思うわ」
「何を。」
「私と貴方とを――。そうじゃあなくって、私は、貴方のいやなものを皆許せる、見ないで居れる程自分は深く大きく理解し愛せると思って居たら、矢張り其になやまされるのですもの、其で斯うやって涙をこぼすのですもの、」
「そう、オバーメジュアする、したのは確に悪い――、然しね、貴女は、今まで、斯うやって二人で人間が暮して行く経験はなかったのだから、どうしても、新しい生活が来ると自分の動かされ易いこと、無力なことを直接に人と当って経験して行くでしょう、当然来るべきことなのだ」