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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

雷門以北「東京日日新聞 夕刊」1927(昭和2)年6月30日~7月16日<br>吉原付近「中央公論」1929(昭和4)年2月<br>続吉原付近「中央公論」1929(昭和4)年3月<br>隅田川両岸「中央公論」1935(昭和10)年9月<br>浅草田原町「三田文學」1912(明治45)年2月<br>あやめ団子「花形」1920(大正9)年8月<br>相模屋の路次・浅倉屋の路次「新演藝」1920(大正9)年8月<br>浅草の喰べもの「中央公論 夏期特別號」1920(大正9)年7月<br>夏と町々「時事新報 夕刊」1929(昭和4)年6月1日~30日<br>絵空事「新潮」1932(昭和7)年3月<br>一年「東京新聞」1946(昭和21)年4月15日<br>浅草よ、しずかに眠れ「苦樂」1948(昭和23)年2月<br>夜店ばなし「婦人公論」1931(昭和6)年7月<br>除夜「週刊朝日」1930(昭和5)年12月28日號<br>正月「婦人公論」1932(昭和7)年1月<br>水の匂「文藝春秋」1941(昭和16)年7月<br>町々…… 人々……「別冊文藝春秋」1955(昭和30)年2月~6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 页

青空文庫

忽ち出す修羅の巷、緑の大地も今は真紅と変じ、双方この一戦こそ自分の運を左右するものと奮戦すると筋書に書いてあるように、とッかえ引ッかえ竹槍や刀での幾組もの立廻りが行われた。が、死を決した時次郎の働き物凄く、彼の一刀向う所虚空をつかまぬものとてはなく、用心棒沢田要之進も仆され、恵比須の勘太、花車の多助も浴びせられ、其様宛然巨人曠野を行くの概があると、矢っ張そう筋書に書いてあるように、とど時次郎、むらがる敵をすべてうちはたし、結句ついに惣右衛門とわたり合ってこれをまた組みしくことになる。そうしてそのとき、アワヤかれの一刀の、その咽喉もとに下されんとしたとき、そのとき早く、このとき遅く、急に舞台は真っ暗になった。そうして忠実なスポットライトは、濃き紫にかれの半面を、苦悶の表情を、浪花ぶしの恩愛感をくッきりそこに浮上らせた。――大写しという奴である……

そのあとの筋は、わたしは、まだみぬ旧友、むかしの「死の歓び」の作者の名誉のために書かないであろう。――なぜなら……

………………

………………

江川大盛館へ入った。

四

……ドロ、ドロ、ドロと太鼓がなって現われたのは助六である。